川越に蔵造りの町並みが形成される契機となったのは、明治26年(1893年)の大火です。この未曾有の大火災は、川越商人たちの防火対策への意識の変革をもたらしました。川越商人は江戸時代以来、新河岸川の舟運などによる江戸との商いで富の蓄積があり、復興のための財力は十分にあったようですが、同じ惨事を繰り返さないよう、建物そのものを防火建築にすることを考えました。
大火の際に焼け残った建物が伝統的な工法による蔵造り建物であったことに着目し、商人たちは競って蔵造り建築による店舗(店蔵)を建てました。もっとも、東京日本橋には明治10年代に既に蔵造り建物による町並みが形成されていたこともあり、江戸の商人に対する羨望や憧憬もあったのかもしれません。
この頃、東京では既に耐火建築として、レンガ造りや石積みの近代的な建物が造られていましたが、川越商人たちは伝統的な蔵造り建物を選択しました。しかし、伝統工法に固執するわけでなく、レンガや大谷石、御影石などの新しい建築資材も柔軟に取り入れ、いわば「川越的蔵造り建物」による町並みが形成されていきました。当蔵造り資料館も1階の腰巻には人造石洗出仕上げの漆喰塗りが使用されており、黒漆喰をまとった建物のアクセントになっています
川越蔵造り資料館ホームページ参照 >>
埼玉県川越市元町1丁目15番地2
国指定重要文化財 昭和46年6月22日指定
大沢家住宅は、寛政4年(1792)呉服太物を商っていた近江屋・西村半右衛門が建てた建物で、明治26年の川越大火の時も焼け残り、川越商人に蔵造りを建てさせるきっかけになった建物の一つです。切妻造り平入り、桟瓦葺で1階前面に4尺の下屋庇が張り出しています。1階は、大きな部屋で前面を土間叩たたき、奥は板敷きと31畳の畳敷きになっています。
埼玉県川越市松江町2-8-6
川越市指定有形文化財 昭和56年12月25日指定
埼玉県川越市仲町6-2
川越市指定有形文化財 昭和56年12月25日指定
松崎家住宅は、蔵造りの街並みの玄関口「仲町交差点」で、ひときわ存在感のある外観が黒漆喰壁の建物です。屋根は入母屋造で、豪華な屋根装飾です。
埼玉県川越市幸町6-8
服部民俗資料館
住宅 川越市指定有形文化財 昭和63年1月29日指定
内蔵 川越市指定有形文化財 平成16年3月24日指定
埼玉県川越市仲町4-3
住宅(2棟)
川越市指定有形文化財 昭和56年12月25日指定
埼玉県川越市松江町2-5-11
川越市指定有形文化財 昭和56年12月25日指定
百足屋
店蔵1896年(明治29年)年12月竣工
内蔵1908年(明治41年)年5月竣工
外蔵1928年(昭和3年)年6月竣工
住居部分に和風のカフェを併設、本格的な和スイーツが楽しめます。
埼玉県川越市仲町2-6
住宅(2棟)
川越市指定有形文化財 昭和56年12月25日指定
文庫蔵・便所(2棟)
川越市指定有形文化財 平成8年4月12日指定
みそ蔵
川越市指定有形文化財 平成12年4月7日指定
原家住宅埼玉県川越市幸町7-1 |
宮岡家住宅埼玉県川越市幸町7-3 |
小谷野家住宅埼玉県川越市幸町7-4 |
左から、原家住宅(陶舗やまわ)、宮岡家住宅(宮岡刃物店・まちかん)、小谷野家住宅(フカゼン)
右から、小谷野家住宅(フカゼン)、宮岡家住宅(宮岡刃物店・まちかん)、原家住宅(陶舗やまわ)
埼玉県川越市幸町8-1
川越市指定有形文化財 昭和56年12月25日指定
埼玉県川越市連雀町11-8
ウッドベイカーズ川越店(イタリアンレストラン)
川越市指定有形文化財 平成8年4月12日指定
埼玉県川越市幸町3-3
川越パターテ(カフェ・喫茶)
川越市指定有形文化財 昭和56年12月25日指定
埼玉県川越市幸町2-16
くらづくり本舗 一番街店(さつまいもcafe)
川越市指定有形文化財 昭和56年12月25日指定
埼玉県川越市大手町14-4
川越市指定有形文化財 昭和56年12月25日指定
埼玉県川越市仲町9-9
川越市指定有形文化財 昭和56年12月25日指定
埼玉県川越市仲町10-13
松本醤油商店
川越市指定有形文化財 昭和56年12月25日指定
埼玉県川越市連雀町13-8
吉田謙受堂
川越市指定有形文化財 平成8年4月12日指定
埼玉県川越市幸町7-8
現在は蔵造り資料館として利用されている
店蔵、袖蔵(2棟)
川越市指定有形文化財 昭和56年12月25日指定
住居棟、蔵等(6棟4基)
川越市指定有形文化財 平成27年11月20日指定
埼玉県川越市幸町7-5
川越市指定有形文化財 昭和56年12月25日指定
埼玉県川越市六軒町1-11-1
住宅3棟
川越市指定有形文化財 平成17年3月29日指定
埼玉県川越市元町1-15-5
川越市指定有形文化財 昭和63年6月6日指定
埼玉県川越市仲町6-4
川越アートカフェ・エレバート
川越市指定有形文化財 平成6年4月1日指定
埼玉県川越市松江町2-7-8
国指定重要文化財 令和1年9月30日指定
木造瓦葺き2階建
敷地面積 2,300㎡
延床面積 250㎡
1925年竣工
埼玉県川越市幸町7-9
蔵造り資料館は、明治26年(1893)の川越大火直後、類焼を免れた数軒の蔵造り建物や東京の日本橋界隈の商家を参考に、当時煙草卸商を営んでいた小山文造(屋号「万文」)が建てたものです。当館では、川越の蔵造り家屋の意匠や構造、敷地内の様子を実見でき、今もなお息づく明治のたたずまいを体感することができます。