川越の家のつくり方

川越の家の土間

 

地の熱も有効に使う

家づくり工房の家づくりでは、基礎断熱にして地球の熱を夏冬有効に利用しています。

基礎の立ち上がり部分と外周床部分に、断熱材を施工。断熱材のつなぎ目に、ウレタンを吹き付け充填しています。

木製床吹出し口。
子供が素足で歩いても安全。

一般木造住宅では、床下断熱方式が主流。床下は外部として扱っている・・・問題が多い

湿度が85%を超えると、カビは数日で発生します。
カビのいちばんやっかいなのは、人の健康を害すること。代表的なのは、シックハウス症候群とよばれ、カビが飛散させた胞子を吸い込むことにより、個人差は大きいですが、目の痛み・不快感、鼻水、喉への炎症、吐き気、湿疹、頭痛、だるさ、呼吸困難など、アレルギーになるほか、場合により重篤な症状を人体に及ぼします。カビは普段目にしない床下や壁の中で増殖を続けるため、屋内にいるとなんとなく体調がすぐれないなど、原因として特定しづらいことがあります。

床下の土台でカビが発生しています。カビは普段目にしない床下や壁の中で増殖を続けるのです。画像は、日本ボレイトのホームページから引用。

人体に安全な「ホウ酸塩」による防腐防蟻工法

木造建築の大敵は、腐朽菌による木材の腐れ、あるいはシロアリによる蟻害です。これを生物劣化といいます。生物劣化は、耐震性と住宅の資産価値を大きく低下させます。腐朽菌によって木材の質量が10%減少すると、強度は40%低下するといわれています。
沖縄では、家のまわりに琉球松の杭を埋め、これを餌にしてシロアリの被害から家を守っていました。都市部ではこのようなことは不可能です。基礎や土台、柱の下部に防蟻剤を塗布するのが一般的です。蟻害や腐れに強いといわれているヒノキやヒバを使用することもありますが、性能が十分とはいえません。しっかり対策するには薬剤処理が必要となります。

左側がアメリカカンザイシロアリ、右がヤマトシロアリ。画像は、日本ボレイトのホームページから引用。

防腐防蟻処理剤として、人体に影響のもっとも少ない「ホウ酸塩」による処置を推奨しています。欧米では優れた安全性と持続性から「ホウ酸塩」が広く使われています。「ホウ酸塩」はアメリカのカリフォルニア州などで採掘・精製される無機物の鉱物です。揮発しないため空気を汚すことがなく、効果が長期持続するのが特徴です。
植物にとってもホウ素は必須微量栄養素です。人は野菜を食べたり、水を飲んだりすることで、ホウ素を摂取しています。哨乳動物が過剰にホウ酸塩を摂取すると腎臓でろ過され、体外へ排出されます。このためホウ酸塩の急性経口毒性はとても低く、食塩程度です。
一方、シロアリなど腎臓のない下等生物などが摂取した場合、代謝がストップし、餓死します。ホウ酸やホウ砂が洗眼用として薬局に置かれているのは、「細菌に効いて人に優しい」という作用を利用したものです。

床に使用する構造用合板に、ホウ酸を塗布しているところ。

一般的に住宅の木部に使用されている農薬系の防腐防蟻剤の効果は短く、5年前後で効果がなくなってしまいます。「そらどまの家」のように、床下に蓄熱コンクリートを装備し、24時間換気の循環換気型の省エネ住宅では、農薬系薬剤を使用すると揮発成分が居住空間へ流れ、シックハウス症候群や化学物質過敏症を引き起こす一因となり、注意が必要です。
その点、ホウ酸塩は揮発・分解することがありません。そのため空気を汚さず、予防効果が長期に渡り持続します。しかし、どのような防蟻剤を使用しても定期的な点検は重要です。床下点検がしやすいよう床高や必要な点検口を配置し、木材や基礎のヒビ割れなどをチェックをしましょう。
基礎断熱方式を採用しているため、床下空間は、24時間換気の空気の通り道にもなっていることから通風があり、湿気が少ないので、シロアリや腐朽菌の繁殖しにくい環境をつくることができています。